臥龍点睛
スクールカウンセラーだより 臥龍点睛
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臥龍点睛‐がりょうてんせい‐
スクールカウンセラーだより 号外 (正しくは画龍)スクールカウンセラーだよりは保護者向けに書かれています。「学校の問題はなぜ増えたか」という僕なりの答えを少しずつお話しています。ただこの文章は私見であり、ひとつの考え方にすぎません。子どもたちのことを考えるきっかけになってくれれば幸いです。
この号はネット上のみの配信にしようと思っております。
名前の由来
実は五つの意味が込められています。今回は臥龍点睛というタイトルの由来の話です。まずひとつめは「画竜点睛」という中国の故事成語からきています。ヤフーの辞書を引きますと、このようになっております。
がりょう‐てんせい〔グワリヨウ‐〕【画▽竜点×睛】大辞泉
《中国、梁の張僧(ちようそうよう)が、金陵の安楽寺の壁にかいた竜に睛(ひとみ)を入れたら、たちまち雲に乗って昇天したという「歴代名画記」七の故事から》最後の大事な仕上げ。また、ほんの少し手を加えることで全体が引き立つこと。
がりょう-てんせい ぐわ―【画▽竜点▼睛】大辞林
〔「歴代名画記」より。梁の画家張僧(ちようそうよう)が、竜を描いて、その睛(ひとみ)を書き加えたところ、竜が天に昇ったという故事から〕物事全体を生かす中心。また、物事を完璧(かんぺき)なものにするための最後の仕上げ。〔「睛」を「晴」とするのは誤り〕
カウンセラーがほんの少しだけ手助けをすることで、子どもたちが元気を取り戻して、前向きに歩いていってほしいという願いがこめられております。少しだけというのは、その子の本来の個性を生かしつつと言う意味です。
蛇足ですが「画竜点睛を欠く」となると、「よくできていても、肝心なところが欠けているために、完全とはいえないこと」となり、かえって悪い意味になります。
ふたつめの意味は、「臥龍」というのはある人の別名なんです。それは、三国志に出てくる諸葛亮孔明。「臥龍」とは「天に昇る機会を待って臥(ふ)せている龍」と言う意味です。また「臥龍」は、時が来れば天下に躍り出る大器だという人物評価にも使われます。
「孔明」というのはよく目を開いて世の中を見るという意味が込められているそうです。また蛇足ですが、「三顧の礼」も孔明のエピソードからできた言葉です。僕はこの孔明が好きですし、ひっそりと山の中で暮らす孔明が世に出るというところを子どもたちのイメージに重ね合わせてもいます。みっつめは「臥」という字ですが、これは精神分析学や臨床心理学と深いかかわりがある字なんです。
精神分析を創始したといわれるのはフロイトですが、その方法は患者さんに寝椅子に横たわってもらい、自由連想をしてもらっていました。その正に横たわっているという状態が「臥」であり、その寝椅子は仰臥(ぎょうが)椅子と呼ばれていました。フロイトに対しては賛否両論ありますが、第一人者としての功績は計り知れないものがあると思います。僕がこうやってスクールカウンセラーをしているのも、元の元をたどればフロイトのおかげかもしれない。敬意を表しての臥です。
よっつめは、臥は「ふせる」と言う意味があると申しましたが、その臥の状態を元気をなくした子どもたちに重ね合わせている。臥であっても、龍であってほしい。まさしく臥龍であってほしいと思っているわけです。
いつつめは、どうでもいいことなんですが、僕自身が辰(たつ)年生まれで、龍になじみがあったということです。でもこの理由が結構ポイントかも。
子どもたち(龍)に関わる(点睛)ことで、元気に大きく羽ばたいていってほしい。やはり、それが一番ですね。
というわけで、今回は臥龍点睛の名前の由来のお話でした。
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